のストーリー

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主人公

使用楽器:GS洋銀製 インラインリング C管

フルート暦:29年(途中9年のブランク有り)

主な演奏場所:吹奏楽所属

とにかくフルートが大好きで、吹くのも聴くのもネット検索もフルートの事ばかりでした。 ある時、いつものように「フルート」情報をネットで見ていると「桜井フルート」を紹介したサイトを見つけました。 なんだか「幻のフルート」のような扱い、、、まぼろし、、、いい響きだなぁ・・・

その日から「桜井フルート」を検索してばかりで、ユーザーさんのブログや海外向けサイトなど、少ない情報を知れば知るほど、気になる存在になっていました。「工房に連絡してみたい!」と思っても連絡先もわからず、どうしようかと思っていたのですが、偶然桜井さんを前から知っている方と知り合い連れて行ってもらいました。

「頑固親父」とか「失礼な奴は門前払い」など、ちょっと緊張する噂もあったのですが、 桜井さんにはニコニコ出迎えていただき、工作機械や乾燥中の木材(キングウッド)なども、説明を織り交ぜながらたくさん見せていただきました。工房のようなところには初めて来たのでとても興味深く、勉強になりました。 桜井さんは絵描きさんのようなベレー帽をかぶってて、まさに「職人」って感じ。何に対しても熱い想いがあって、情熱をもって仕事をしているのがわかります。いろんなお話を聞きましたが、

「自然に触れる事」(今日は山が綺麗だなあ、みたいに日々自然を感じる心)

「音には色がある」(ドは白で、ファが緑とか)

というお話は自分にも通じるところがあったので印象に残っています。桜井さんを知れば知るほど「桜井フルートが欲しい」「今すぐ注文したい」くらい大好きになっていましたが、連れて行ってくれた方が「まだ早いんじゃない。今の楽器でもっと練習してからが良いよ。」と言われ、泣く泣く帰りました。

(買うお金も無かったのですが、、)自宅に帰ってからもどうしても欲しくて、忘れられなくて、数週間後には再訪問していました。 意を決して注文しようと思っていたのですが、「もっと練習してからね」って言われるんじゃないかと、内心ビクビクしていました。しかし、桜井さんはニコニコ笑顔で快く引き受けてくださり、本当に嬉しかったです。 桜井フルートにした決定打は、

・洋銀製でもソルダード

・とにかく徹底したこだわりの制作(製作じゃなく、制作)

・とにかく楽器が美しい

・口コミがすごく良い

・幻っぽい

フルート購入の資金も貯まった1年と数か月で完成の連絡がありました。思ったよりも待った気がしなかったのは、実際に作っているところを見たからだと思います。

「やった!自分の桜井フルートだ♪超嬉しい!」 嬉しさのあまり、帰りの道中は何度もケースの蓋を開けて眺めていました。 その日から「桜井フルート」との付き合いが始まったのですが、今まで吹いていたフルートと吹き比べると、ユーザーの皆さんが言っていることがわかる気がしました。「音に芯がある」「タッチが軽く反応が早い」などなど。 桜井フルートを吹き始めてから「遠鳴り」を意識するようになり、吹奏楽の録音を聴いては自分の音を探すようになりました。

自分自身でも「前のフルートの音と違うなあ」と感じてはいましたが、他の楽器をやっている仲間から「楽器変えた?」と聞かれたので、 聴いている人にはだいぶ違うのがわかるのだと思います。

5年くらいGS洋銀製を吹いています。以前は自分の時間がたっぷりあったので「まだ早い」と言われないように、自分を追い込んで必死に練習していました。最初の1年くらいは力が入り過ぎていて、調整の度に「力入ってるよ~」と。。。どこの指に力が入っているかも指摘してくれるので、より脱力を意識した練習が出来ました。リングキィに違和感が無くなってきた頃に調整へ伺ったら、「お!力抜けて来たね♪」と褒めてもらいました。

ニコニコ笑顔でその日の練習に参加すると、仲間から「イイ音出ているねえ♪」と言われビックリ!力が抜けると音も変わるんだと改めて実感しました。

今はフルートを吹く時間が少ししか取れなくなり寂しく想っています。でも、以前のように追い込むような練習は出来なくても、一日のなかで少しでもフルートが吹けると幸せに感じます。その時間が本当に楽しいです。

フルート大好きです(*^_^*)

 

「フルートで幸せに」

桜井秀峰

店頭に無い

カタログも無い

広告も出してない

ホームページもない

吹いている人もあまりいない、

・・・・・・ない。

無い事だらけの桜井フルートの中でも「情報が無い」という事は、様々な噂を生みました。 多少当たっている頑固親父などのイメージならまだしも、倒産したという噂まであったようで、、、そんな中、インターネット上で桜井フルートが少なからず話題になることがあったようです。お住まいが地方ということもあり、情報を多く知りたい人はネットに頼らざるを得ません。

数多いメーカーの中から桜井フルートに目をつけ、わざわざお越しいただいたという事は、それだけフルートに対して貪欲なんだと思いました。幸一郎が工作機械や材料などを見せているときは、「これは何をする機械ですか?」「この木は何て名前ですか?」と聞いてはメモをしていました。

音楽やフルートについての話も真剣に聞き入っている姿は、余す事なく自分のものにしようとしている「新しいスポンジ」のようでした。来訪初日にたくさんのお話をさせていただき、またこちらも色々と伺うことが出来たので、制作をする上での良い下地が出来たと感じていました。

制作中の想いは「いかに自分とフルートが一緒に成長している事を実感させるか」。熱心さは時に盲目になりがちです。自分の成長をフルートから感じ、またフルートの成長は仲間からの客観的な感想から感じることで、「ともに成長しているんだ」と冷静な目を持って歩んでいただけたら嬉しいなあと。

完成後は力が入っている様子でしたが、すぐに力は抜けました。今ではバランス調整も最小限ないくらいに安定しています。楽器にとってはまさにベストの状態。タンポもあと10年は持ちそうです。吹き方も、一音一音を大切にするようになっています。まだまだ探究したい気持ちに溢れているようですので、こちらもそれに最大限応えられるようにしたいと想っています。

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