のストーリー

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主人公

フルート暦:15年

主な演奏場所:アンサンブル、自宅

所属しているアンサンブルのメンバーがサクライフルートを愛用していました。その音を聴いた仲間たち数人で工房へ押しかけたのがサクライフルートとの出会い。気心の知れた仲間たちと一緒だったからでしょうか・・・初めて訪れたはずの工房なのに、勝手知ったるなんとやらの様にとっても居心地が良くって、アットホームな雰囲気で、お昼までいただいてしまいました。工房の周りは自然も豊かで、ワンちゃんと季節の花々(とくに胡蝶蘭とバラ!)が出迎えてくれてくれました。清明さんに手持ちのフルートを調整してもらいながら、いろいろとお話を聞いたりしていると「やっぱりフルートをとても愛している職人なんだあ。」という感じがしました。でも幸一郎さんを見た瞬間に「仙人だ!」と思ってしまいました。壮大なお話も強い印象を受けました。その時すでに「私のフルート」を作ってもらいたいと思っていたので、その場でSP総銀製の制作をお願いしました。

1年と数カ月で「出来たよ!」とお電話を頂いたので、思っていたより早くてビックリして「早いですネ!」と言ったら「頑張って作ったよ!」と言って下さり、本当に嬉しくって「早く私のフルートに会いたい!」ってなりました。初めて逢った「私のフルート」は歌口が小さめで、自分に鳴らせるのか心配でした。でも、手作りで丁寧に仕上げて頂いたので、早く笛と仲良くなって吹きこなさねば!と思い練習に励みました。私の音ってどんなだろう?と感じた時は、他のメーカーと吹き比べて「どこのフルートの音か当てる」遊びを仲間たちとしながら練習していました。優しい音だねって言われた時は嬉しかったです。

「私のフルート」は自分が「こう吹きたい」とやってみると、見事に応えてくれます。これからは、もっともっと総銀製の良さを引き出すように吹いてみたいと思っています。桜井さん家族がコツコツと作って下さったように、私もコツコツと成長していきたいです。 私はとにかく音楽が大好きで、歌も歌います。「音楽は神様からの一番のおくりもの」だと思っています。生きるうえでかかせないものです。フルートは、それを表現できる大切なパートナーだと思っています。

そのパートナーを制作してくれた桜井さんには、量産化ではなく確実に技術を伝承していって欲しいです。私と「私のフルート」は、これからもずっと一緒です。

 

「太陽のような」

桜井秀峰

お仲間の中でもひときわ明るく、みんなを笑顔にしてくれる存在です。そして、表に出てくる明るさ以上の熱い想いを心に抱いている方です。自分が納得する事をとても大切にしておられると感じますので、私たちもその納得以上を目指して仕事をさせていただいています。

最初の楽器はSP総銀製。制作させていただきながらの想いは「心の中に響くフルート」。言葉では曖昧なところもありますが、自分の音を追求するためには表に出る音ではなく、自分の中にある「音」を感じられなくてはいけません。完成直後は、内省的というか修行のような日々を過ごされたと思います。事実、半年後に調整に来られた時は仲間の前でもあまり長くフルートを吹かれる事は無かったと記憶しています。それから1年が過ぎた頃だったでしょうか。いつもにも増して笑顔で調整に来られた時には長くじっくりとフルートを吹いておられました。ご自分ではまだまだというお気持ちだったのでしょうが、「自分の音」を追求されているのが伝わってきました。その向こうにある「音楽」を見据えた追求です。

明るく振舞っておられる心の中には、人並み以上の熱意を感じます。これからも、その熱意に最大限応えたいと想います。

 

ストーリーリスト

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